聖エクスペディトゥス - The Sacred Secret
聖人

聖エクスペディトゥス

エクスペジット/緊急の用件の守護聖人
Saint Expédit(仏)/ Saint Expeditus / Saint Expedite(英)/ Expeditus Martyr(羅)
※ 聖エクスペディトゥスの歴史的記録は非常に限られており、名前の由来を含め民間伝承の要素が強い聖人です。1905年に教皇ピウス10世が殉教者リストから外しましたが、民衆の篤い崇敬は今日も続いています。
◆ 年代生没年不詳/303年頃殉教
◇ 出身地メリテネ(現トルコ・マラティヤ)
◆ 祝日4月19日
◇ 守護分野緊急の用件・先延ばしへの対抗・早期解決・商人・船乗り・航海者・学生(試験)/(非公式・民衆的)プログラマー・ハッカー・革命家・金銭的困難にある人
◆ シンボル
カラス(悪魔の象徴・踏みつける) 「HODIE(今日)」の十字架 ローマ百人隊長の鎧 棕櫚の枝(殉教)
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Life / 生涯

伝承によれば、聖エクスペディトゥスは現在のトルコ・マラティヤ(古代アルメニアのメリテネ)に駐屯していたローマ軍の百人隊長でした。ディオクレティアヌス帝の迫害(303年頃)のもとでキリスト教に改宗し、信仰を告白したために斬首されて殉教したとされています。ヒエロニムス殉教者目録には彼の名が記されており、中世から信仰されてきましたが、詳細な生涯の記録は残っていません。教皇ピウス10世が1905年に公式の殉教者リストから名前を削除したにもかかわらず、ヨーロッパ・ラテンアメリカ・レユニオン島などで民衆の崇敬は継続しています。

ブラジルのサンパウロでは毎年4月19日の祝日に数十万人が参加する祭礼が行われるほどです。また彼の名自体がラテン語の「expedire(急いで処理する)」に由来することから、「迅速に物事を解決してくれる聖人」としての信仰が広がりました。

Episode / エピソード・伝承

エクスペディトゥスの最も有名な伝承は改宗の場面です。キリスト教への改宗を決意したその日、悪魔がカラスの姿で現れ「クラス・クラス(ラテン語で「明日・明日」)」と鳴いて改宗を明日に延ばすよう誘惑しました。エクスペディトゥスはすぐさまカラスを足で踏みつけ「ホーディエ・ホーディエ(今日・今日)!」と叫んで即座に改宗したとされています。この図像?百人隊長が「CRAS(明日)」と書かれたカラスを踏みつけ、「HODIE(今日)」と刻まれた十字架を掲げる姿?は世界中に広まりました。

フランスではこの崇敬が「expedit(至急)」と書かれた荷物の誤解から始まったという説も伝わっています。パリの修道院に聖遺物の荷物が届いた際、箱に書かれた「expédit(至急配達)」という言葉を修道女たちが聖人の名前と勘違いして祈り始めたところ願いが叶い、崇敬が広まったというものです。真偽は不明ですが、エクスペディトゥスへの信仰は「今日行動することの大切さ」を体現する聖人として現代でも根強く続いています。またインターネット時代には「即座に問題を解決する」という性格から、プログラマーやハッカーが非公式の守護聖人として崇敬するようになり、雑誌Wiredも「ハッカーの守護聖人」と紹介しています。革命家の守護聖人ともされますが、これも「現状に抗って今すぐ行動する」という象徴からの民衆的解釈です。金銭的困難にある人々がエクスペディトゥスに祈る慣行もブラジル・ニューオーリンズなどで広く見られますが、いずれも教会による公式認定ではなく民衆信仰に基づく守護分野です。

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