聖アエギディウス - The Sacred Secret
聖人

聖アエギディウス

アエギディウス/ジャイルズ/ジル/エジディオ
Sanctus Aegidius(羅)/ Saint Giles(英)/ Saint Gilles(仏)
※ 聖アエギディウスの生涯に関する歴史的記録はほとんど残っておらず、伝承の域を出ない部分が多くあります。カトリック教会が列聖した古代の聖人であり、中世ヨーロッパで広く崇敬されました。
◆ 年代650年頃〜710年頃
◇ 出身地ギリシャ(アテネ説あり)
◆ 祝日9月1日
◇ 守護分野身体障がい者・乞食・鍛冶屋・馬・ライ病患者・授乳中の母・乳がん患者・てんかん・精神疾患・夜恐症・不妊・ペスト・森の動物・十四救難聖人の一人
◆ シンボル
牝鹿(雌鹿) 修道服
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Life / 生涯

聖アエギディウスは7世紀後半のギリシャに生まれたとされますが、その生涯の詳細は伝説と融合しており、確実な史料は乏しいものです。裕福な家庭に育ちながらも世俗の富を退け、祈りと施しの生活を選んだとされます。故郷を離れてガリア(現在のフランス南部)に渡り、ローヌ川河口付近で長年の隠修生活を送りました。

伝承によれば、彼は深い森の中に洞窟を見つけ、そこを庵として独り神と向き合う日々を送りました。友として寄り添ったのは一頭の牝鹿で、その乳が彼の糧となったと伝えられます。やがてその名声が広まり、西ゴート族の王テオドリックに敬われ、王の援助によって修道院を創設しました。この修道院は後に彼の名を冠した町サン=ジルの礎となります。

アエギディウスは修道院長として弟子たちを導き、穏やかに生涯を閉じました。中世ヨーロッパでは「十四救難聖人」に次ぐほどの人気を誇り、巡礼路沿いの教会には彼の名が多く冠されました。エルサレムへの巡礼路やサンティアゴ・デ・コンポステーラへの道沿いにも、彼を祀る聖堂が建てられています。

Episode / エピソード・伝承

最もよく知られる伝承は「牝鹿の奇跡」です。王の狩猟隊が森に分け入った際、猟師の放った矢が、アエギディウスを庇って身を挺した牝鹿を傷つけました。しかし矢はその牝鹿をかすめ、洞窟の中で祈るアエギディウス自身の手に刺さったとも伝わります。この場面は中世美術において繰り返し描かれ、彼の最も有名な図像となっています。負傷しながらも怒らず、牝鹿を守ろうとした聖人の姿は、弱き者への慈悲の象徴として語り継がれました。

また、フランク王国のカール・マルテルが自ら告白できないほどの重大な罪を犯したとき、アエギディウスがミサを捧げていると天使が現れてその罪を書き記した紙を祭壇に置いたという伝承も広く知られています。この逸話から、アエギディウスは「秘密の罪を持つ者」「告白を恥じる者」の守護聖人とも見なされるようになりました。

英国ではSt Giles(セント・ジャイルズ)として深く崇敬され、ロンドンやエジンバラをはじめ多くの都市に彼の名を持つ教会や病院が建てられました。中世の施療院や貧者の救護施設に彼の名が多く冠されたのは、弱者への守護者としての評判がいかに広まっていたかを示しています。

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