十字架

タウ十字

聖アントニウス・アッシジの聖フランシスコゆかりの十字架
Tau Cross(英)/ Crux Commissa(羅)/ Croix de Tau(仏)/ St. Anthony's Cross / Old Testament Cross
タウ十字
※ ギリシャ文字タウ(T字形)に由来する、横棒の上に突起のない十字。旧約聖書エゼキエル書に記された「額に記される印」を起源とし、聖アントニウスと聖フランシスコという二人の大きな聖人と結びついた、当店で最も商品数の多い十字架の型です。
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Origin / 由来・語源

タウ十字は、ギリシャ語アルファベットの19番目の文字「タウ」の大文字(T字形)に由来する名前です。ラテン十字と違い、横棒の上に突起(縦棒の続き)がなく、ちょうどアルファベットのTのような形をしています。この形はヘブライ語アルファベットの最後の文字「タヴ」の古い書体にも通じるとされ、「旧約聖書の十字架(Old Testament Cross)」という呼び名も持ちます。

もう一つの呼び名「聖アントニウスの十字架」は、4世紀のエジプトで活動し、キリスト教修道生活の父と称される聖アントニウス(アントニオス)にちなみます。彼の杖の形がタウに似ていたことから、中世にはこの聖人を描く図像や、彼にゆかりの修道会の紋章としてタウが用いられるようになりました。実はキリスト教が採用するより古くから、タウの形は地中海世界のさまざまな文化で意味を持つ記号として存在しており、聖書の民の間でも独自の意味を担っていた記号です。

Meaning / 聖書的・神学的な意味

タウ十字の聖書的な原点は、旧約聖書エゼキエル書9章4節にあります。預言者エゼキエルの幻の中で、神はエルサレムの罪を嘆き悲しむ人々の額に「印」を記すよう命じ、その印を持つ者だけが、迫り来る裁きから守られるとされました。この「印」が、ヘブライ語のタヴの文字であったと古くから解釈され、後の時代のキリスト教徒は、これをキリストの十字架を予告するしるしとして読み替えていきました。

この解釈が決定的な形で広まったのが1215年、教皇インノケンティウス3世が第4ラテラン公会議の開会にあたって行った説教でした。教皇はエゼキエル書のこの一節を取り上げ、集った人々に「タウの戦士たれ」と呼びかけ、悔い改めと信仰の刷新を訴えたと伝えられています。この場に居合わせていたのが、アッシジの聖フランシスコでした。

History / 歴史的背景

説教に深く心を動かされたフランシスコは、この日を境にタウを自らのしるしとして選び取ります。手紙の末尾に自分の名前の代わりにタウを記し、滞在先の壁や扉にもこの印を描いたと伝えられています。フランシスコは、両腕を広げた修道士の姿がタウの形そのものになることをよく指摘していたとも言われ、以来タウはフランシスコ会の正式な紋章として、会服やロザリオ、巡礼者に手渡されるペンダントに使われ続けています。フランシスコに先立って聖アントニウスとの結びつきがあったことも重なり、中世にはアントニウス会(聖アントニウスのホスピタル騎士修道会)の修道士たちが、青い会服に青いタウの印をつけて病者の看護にあたっていた記録も残っています。

近年でも、2013年に選出されたローマ教皇フランシスコが、敬愛するアッシジの聖フランシスコにちなんでその名を選んだことから、タウ十字への関心が改めて高まりました。もっとも、教皇の紋章そのものがタウというわけではなく(実際にはイエズス会のIHSモノグラムです)、あくまで名前の由来となった聖フランシスコの象徴として、現代のカトリック信者の間で親しまれ続けている、というのが正確なところです。

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