十字架

カマルグクロス

牧夫と漁師の地、南仏カマルグの信仰と暮らしを一つにした十字架
Croix camarguaise(仏)/ Camargue Cross(英)/ Cross of the Gardians
カマルグクロス
※ 三又の槍(信仰)・錨(希望)・ハート(愛)を組み合わせた十字架。1920年代、南仏プロヴァンスのカマルグ地方の文化を守るために作られた、比較的新しい由緒を持つ十字架です。
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Origin / 由来・語源

カマルグクロスは、南フランス・プロヴァンス地方、ローヌ川が地中海に注ぐ広大な湿地帯カマルグの象徴です。1924年(1926年とする資料もあります)、画家エルマン=ポールが、友人であった侯爵フォルコ・ド・バロンチェリ=ジャヴォンの依頼を受けて考案しました。バロンチェリ侯爵は、自らも牧夫(ガルディアン)として牛や馬を育てながら、カマルグの風習や言葉を記録し続けた人物で、「カマルグの生みの親」とも評されています。第一次世界大戦の惨禍に深く心を痛め、熱心な反軍国主義者となった彼は、1904年(1909年とする資料もあります)に「ナシオン・ガルディアーヌ(牧夫の国)」という団体を設立し、アルルからカマルグ、闘牛の伝統に至るまでの地域文化を守り、称える活動に力を注いでいました。この十字架は、そうした牧夫と漁師からなる「カマルグの民」を一つにまとめる象徴として作られたのです。

Meaning / 聖書的・神学的な意味

カマルグクロスは、コリントの信徒への手紙一13章13節に記された信仰・希望・愛という三つの徳を、一つの図像に凝縮しています。十字の上部の三つの先端は三又の槍(トライデント)の形をしており、これは信仰を表すと同時に、牧夫たちが野生に近い状態で育つ黒い牛や白い馬を追い立てるために実際に使っていた道具そのものでもあります。信仰の象徴と労働の道具が、文字通り同じ形をしているのです。十字の下部は湾曲して錨の形になり、これは希望を表すと同時に、この地の漁師たちを象徴しています。そして十字と錨が交わる中心には、愛を表すハートが配されており、これは特に、サント=マリー=ド=ラ=メールの町の名の由来となった「三人のマリア」――マグダラのマリア、クロパの妻マリア、サロメ――が、キリストの復活の後、船でこの地に流れ着いたという中世以来の伝承と結びつけられています。

History / 歴史的背景

この十字架は1930年、鍛冶職人ジェデオン・ブラティエールの手で鉄製の像として鋳造され、バロンチェリ侯爵自身の邸宅であったマス・サンベウ農場の近く、モール橋のたもとに設置されました。この最初の一基は今も現地に残り、多くの人に大切にされています。2017年には心無い人物による破損被害に見舞われましたが、当人は服役し、十字架は元の場所に修復されて戻されました。今日ではカマルグクロスは、サント=マリー=ド=ラ=メールの町を象徴する意匠として教会の外壁にも掲げられているほか、カマルグ地方全体の文化的アイデンティティを示す紋章として、織物や宝飾品、日用品に至るまで幅広く用いられています。信仰の言葉を知らない人にとっては地域の誇りの印として、由来を知る人にとっては信仰・希望・愛を静かに語りかける十字架として、二重の意味を今も生き続けています。

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