十字架

カラバカ十字

天使が運んできたと伝わる、スペインの「真の十字架」
Cruz de Caravaca(西)/ Caravaca Cross(英)/ Vera Cruz de Caravaca
カラバカ十字
※ 二本の横棒を持つ十字で、中央にキリスト、両脇に十字を捧げ持つ二人の天使が配される形。スペイン・ムルシア州カラバカ・デ・ラ・クルスの町に伝わる、「真の十字架」の聖遺物にまつわる十字架です。
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Origin / 由来・語源

カラバカ十字は、縦棒に二本の横棒が交わる形をした十字架で、多くの場合、中央にキリストの磔刑像、その両脇にこの十字を捧げ持つ二人の天使が配されます。伝承によれば1232年5月3日(異説では1231年)、当時ムーア人の支配下にあったムルシアの町カラバカで、囚われの身であったキリスト教徒の司祭ヒネス・ペレス・デ・チリノスが、統治者アブー・ザイドの前でミサを執り行うよう命じられました。ミサの最中、祭壇に十字架がないことに司祭が気づきますが、ムーア人の王国内のどこを探しても十字架は見つかりません。祈る司祭のもとに、突如まばゆい光とともに二人の天使が窓辺に現れ、光り輝く二本線の十字架を捧げ持って祭壇に置いたと伝えられています。この十字架のおかげでミサは無事に執り行われ、この奇跡に心を動かされたアブー・ザイド王自身がキリスト教に改宗したとも語られています。

Meaning / 聖書的・神学的な意味

この十字架には、キリストが実際に架けられた「真の十字架」の木片(リグヌム・クルキス)が納められていると伝えられており、この聖遺物としての性格が、カラバカという小さな町を一大巡礼地へと押し上げました。二人の天使に支えられて天から地上へ運ばれてきたという物語は、この十字架の図像そのものにも表れており、天と地を結ぶ橋渡しとしての性格を強く帯びています。奇跡的な救出の物語に由来することから、カラバカ十字は数ある十字架の中でも特に「守護」の象徴として親しまれ、危険や苦難から身を守るお守りとして、また健康と幸運を願うしるしとして、今も広く身につけられています。1998年、教皇ヨハネ・パウロ2世はカラバカ・デ・ラ・クルスの町に対し、2003年以降7年ごとに聖年(ホーリーイヤー)を祝う特権を永続的に認めており、これはローマやエルサレム、サンティアゴ・デ・コンポステーラなど、ごく限られた土地にしか許されていない、大変名誉な特権です。

History / 歴史的背景

この聖遺物への信心は数世紀にわたってスペイン各地から巡礼者を集め、もとは単に「カラバカ」と呼ばれていた町は、やがて「カラバカ・デ・ラ・クルス(十字架のカラバカ)」という名で呼ばれるようになりました。毎年5月1日から5日にかけて、町では「最も聖なる真の十字架祭」が催され、宗教行列やキリスト教徒とムーア人の対立を再現する時代行列に加え、テンプル騎士団が包囲された町にワインを馬に乗せて密かに届けたという伝承にちなむ「ワインの馬」の疾走という、勇壮な祭事も行われています。この信心はイエズス会やフランシスコ会の宣教師たちによって新大陸にも運ばれ、なかでもフニペロ・セラ神父は、マヨルカ島を出発する際にカラバカ十字の複製を携え、後にカリフォルニアで最初の九つの伝道所を築く生涯を通じて、それを手元に置き続けたと伝えられています。長い歴史の中で元の聖遺物をめぐる詳しい経緯には今も謎が残る部分がありますが、1994年には教皇ピウス12世がこの町に改めて聖遺物の断片を贈っており、今日に至るまで、カラバカの信心は絶えることなく受け継がれています。

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