聖マルタ - The Sacred Secret
聖女

聖マルタ

ベタニアのマルタ
Sainte Marthe(仏)/ Santa Marta(伊)/ Saint Martha(英)/ Sancta Martha(羅)
◆ 年代1世紀(使徒時代)
◇ 出身地ベタニア(現イスラエル)
◆ 祝日7月29日
◇ 守護分野家政婦・主婦・料理人・ウェイター・ウェイトレス・栄養士・ホテル業・旅館業・洗濯婦
◆ シンボル
エプロン・ほうき 鍵束 竜(タラスク)と鎖 聖水入れ
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Life / 生涯

聖マルタはエルサレム近郊の村ベタニアに住んでいた女性で、妹マリアと弟ラザロとともにイエス・キリストの親しい友人として新約聖書に登場します。ルカ福音書10章には、イエスが三兄弟妹の家を訪れた際、マルタは給仕の準備に忙しく立ち働き、妹マリアがイエスの足元に座って話を聞いていることを不満に思い、手伝わせてほしいと頼む場面が記されています。

ヨハネ福音書11章には、弟ラザロが死んだとき、マルタがいち早くイエスのもとに走り出て「主よ、もし、ここにいてくださいましたなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう」と語りかけた場面が描かれています。続くイエスの「わたしは復活であり、命である」という宣言を受け、マルタは「はい、主よ、あなたが世に来られるはずの神の子、メシアであると信じております」と告白しました。この信仰告白はペトロのそれと並ぶ、福音書における重要な証言として位置づけられています。

その後の伝承についてはさまざまな伝説があります。南フランスの伝承では、マルタは妹マリアや弟ラザロとともに地中海を渡ってプロヴァンスに上陸し、タラスコンの地でタラスクという怪物を退治して人々を救ったとされます。彼女はそこで敬虔な余生を送り、後世タラスコンの守護聖人となりました。

Episode / エピソード・伝承

ルカ福音書のエピソードで「マルタとマリア」の対比はキリスト教神学において長く議論されてきました。マルタの「奉仕・活動」に対してマリアの「観想・祈り」という構図は、活動的生活(vita activa)と観想的生活(vita contemplativa)の象徴として解釈されることが多くあります。しかし現代の神学者の多くは、どちらが優れているかという二項対立よりも、両者の調和と相互補完を重視するよう読み直しています。

南フランスのタラスコンには今も聖マルタ大聖堂(Collegiate Saint-Martha de Tarascon)が存在し、毎年7月の祝日には「タラスク祭り」が開催されます。この祭りはユネスコの無形文化遺産にも登録されており、竜(タラスク)の模型が練り歩く賑やかな行事となっています。

また中世ヨーロッパでは、マルタの姉妹マリアとマグダラのマリアを同一人物とする説が広く信じられていましたが、現代のカトリック教会では別々の人物として区別されています。

Patronage / 守護の由来

家事に忙しく立ち働くマルタの姿から、家政婦・主婦・料理人・ウェイターなど「もてなしと給仕に関わる人々」の守護聖人とされています。ホテルや旅館など宿泊業に携わる人々からも崇敬されます。

手にした鍵束は家の管理者としての姿を、エプロンやほうきは家事の象徴を表します。また南フランスの伝承に基づき、竜(タラスク)と鎖を持つ図像も多く見られます。聖水入れは、悪を退けるために聖水を用いてタラスクを制した伝説に由来します。

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